大人の発達障がい。周りへの共有で生き生きと過ごせる環境へ

事例・体験談

相手によって変わってしまう対応

前回は、大人の発達障がいが増えている3つのワケについて紹介しました。今回は、実際に元同僚が大人になってから発達障がいと診断された背景などについて紹介します。

〜Aさん〜
私の元職場では、大人になってから、初めてアスペルガー症候群と診断された男性がいました。子どもたちの前では生き生きとしていて、コミュニケーションも円滑。しかし、職員や保護者など対大人になると、人が変わったように言葉が出なくなり、落ち着きがなくなってしまうのです。

新卒で入社したばかりだったため、初めは極度の緊張かと思い、他愛のない話をするようにしていると、やがて冗談もいってくれるようになりました。しかし、長く視線を合わせられず、落ち着きのない挙動は変わらないままでした。子どもたちからは人気者でしたが、保護者との関係づくりは難しかったようです。

特性を共有することで楽になる

そんな生きづらさを感じていたのは、幼少期から。対人関係に困難を感じていても、大きな問題を起こすことはなく、学生時代を過ごしてきたといいます。彼は「周りの大人に気付いてもらえなかった自身の経験から、同じように苦しむ子どもの力になりたいと思ったことが、放デイの仕事に就いたきっかけだ」と話します。

この仕事に就き、発達障がいについて詳しくなっていくなかで「もしかしたら自分も発達障がいではないか?」と、心に抱いていた疑問をはっきりとさせたくなり、検査を受けたそうです。診断結果についても話してくれ「同僚に共有したことで気持ちが軽くなった」といっていました。「どうして自分はうまく話せないんだろう?」と、1人悩んでいた理由がわかったことで、すっきりしたのだと思います。

職場への打ち明けに不安…

〜Bさん〜
ある女性はいつも同じミスを繰り返し、単純な仕事でも、何度説明しても覚えられなかったといいます。幼少期から集中することが難しく不注意もありました。しかし、両親の方針で発達障がいの検査は受けず、通常級で過ごしてきました。

社会人になってから検査を受けると、ADHDと診断されました。職場に打ち明けることに、戸惑いもあったようですが、腑に落ちる部分もあり、少しずつ理解を得られました。苦手なことや、特性を理解してもらうことで、周りもどのように対応したらよいか、わかりやすくなります。また、やる気の問題ではないと知ってもらえたことで、以前よりも過ごしやすくなりました。

やりがいをもって働ける環境

どこの職場でも発達障がいへの理解を得られる社会には、まだなっていないかもしれません。また診断名がつくことで、偏見の目で見られることもあるかもしれません。業務内容を制限されないかなど、心配になることもあると思いますが、入社することがゴールではなく、働きやすい環境で、自分に合った仕事をやりがいをもって続けることが、多くの人の願いではないでしょうか?

少し環境を変えるだけでできること、少しの配慮でスムーズにできることが、たくさんあります。人によって、必ずしも検査を受けること、診断名が付くことがよいとは限りません。しかし、もし「なぜできないんだろう」と、自分を責めて苦しんでいるのであれば、自分を理解することが、日々を過ごしやすくする近道になるかもしれません。

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