LD「学習障がい(限局性学習症)」の概要
今回はLDについて紹介します。
LD(Learning Disabilities/Learning Disorders*)とは、読み書き能力や計算などの算数機能に関する学習障がい(限局性学習症)を指します。
*教育・医療の立場によって表記が異なります。
知的発達に遅れはありませんが、聞く、話す、読む、書く、計算する、推論する能力のうち、特定の分野を習得し使用することが困難な状態にあります。これには中枢神経系に、なんらかの機能障がいがあると推測されています。しかし、視覚・聴覚・知的・情緒などの障がいや環境が、直接の原因となるものではありません。
【参考】主な発達障害:文部科学省 – 文部科学省ホームページ
学習障がいは、以下の3種類に分類されます。
・ディスレクシア:読むことが困難な読字障がい
・ディスグラフィア:書くことが困難な書字表出障がい
・ディスカリキュリア:計算や推論が困難な算数障がい
厚生労働省では上記3種類をまとめてディスレクシアと捉え、読字・書字における障がいの特徴を以下のように紹介しています。
1.文字を一つ一つ拾って読む逐次読み
2.単語あるいは文節の途中で区切って読む
3.読んでいるところを確認するように指で押さえながら読む(音読の遅延や文の意味理解不良につながる)
4.文字間や単語間が広い場合は読めるが、狭いと読み誤りが増え、行を取り違える
5.音読不能な文字を読み飛ばす
6.文末などを適当に変えて読んでしまう
7.音読みあるいは訓読みしかできない
8.拗音「ょ」促音「っ」など特殊音節の書き間違えや抜かし
9.助詞「は」を「わ」と書くなどの同じ音の書字誤り
10.形態的に類似した文字「め・ぬ」などの書字誤り
【参考】学習障害(限局性学習症) | e-ヘルスネット(厚生労働省)
2012年の小・中学校教師を対象とした全国調査によると、日本では著しく学習に困難を示す児童・生徒は全体の4.5%存在することがわかっています。
苦手分野を補い、長所を伸ばす方法
学習障がいは、苦手分野を正しく理解してあげることが重要です。それは学習面だけでなく、対人関係や運動機能にも支障をきたす場合があります。
たとえば聞く・話すことが苦手だと、友だちの話や遊びのルールが理解できない、自分の気持ちを上手に伝えられない。また、頭で理解して体を動かすことが苦手だと、別の機能を同時に動かす協調運動や、手先を使った微細運動ができないといったケースがあります。このような特徴をよく理解し、それぞれの苦手分野を補いながら、長所を伸ばす方法を紹介します。
・書く・読むことが苦手:パソコンや電卓、タブレットなど、本人が取り組みやすい機器を併用する
・クラス単位などの集団行動が苦手:個別指導に切り替える
※通常学級での学習のほかに、通級で個別指導を受ける方法もあります。通級(通級指導教室)とは、小・中学校の障がいのある子どもが、通常学級にくわえ、個別の指導を受ける教室のこと。(週に数時間)
・本の行を飛ばして読んでしまう:読んでいる箇所がわかりやすくなるよう、定規で隠しながら読む
・複数の配色があると読みづらい:赤や青などの特定色を使い、意識を集中させる
そのほか、学習障がいの対策として作られたフォント(ユニバーサルデザイン(UD)フォント)などを試してみるのもおすすめです。
学習障がいと共存し活躍するハリウッドスター
また、国立特殊教育総合研究所などの研究結果では、興味・関心をもって参加できたり、達成感を味わえたりする指導が効果をあげていると報告されています。苦手分野を補う教材を用い、スモールステップで自信をつけさせることが有効だといいます。
著名人でも学習障がいを公表している人は多く、ハリウッド俳優のトム・クルーズもその1人です。彼は読むことに困難があるため、録音された台本を耳で覚えるそうです。こうして長所を上手く伸ばすことで活躍しています。特徴や個性をよく理解し、一人ひとりに合った教材・方法で苦手分野を補うことで活躍の場や可能性は広がります。
【参考】学習障害児に対する指導について(報告):文部科学省
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